【開催レポート】「からくり現場改善入門セミナー」(2024.10.3開催)
お金をかけず知恵を使う・簡単な仕掛けで作業を効率化
2024年10月3日に兵庫県立工業技術センターで「からくり現場改善入門セミナー」を開催しました。あいにくの雨でしたが兵庫県内の製造業を中心に95名の方に参加いただきました。
からくり現場改善とは?
からくり現場改善は、現場の困り事や課題を見つけ出し、重力などの自然エネルギーやバネ・滑車・歯車など簡単な仕掛を使い、環境負荷を少なく、ローコストに改善するものです。その仕組みが、日本に古くからある「からくり人形」に通じるためこの名で呼ばれています。 今回はシスメックス、プレテック、パナソニックの3社から実践事例を中心とした講演とからくりの展示をしていただきました。
セミナー動画(YouTubeショート)
講演
シスメックスの「からくり現場改善」の取組み
シスメックス株式会社 診断薬生産本部
生産システム部 課長
守谷 茂夫 氏シスメックス株式会社 診断薬生産本部
生産システム部
神木 秀継 氏シスメックス株式会社 診断薬生産本部
第二生産部 係長
土田 良造 氏
最初の講演は地元神戸の企業、シスメックス株式会社にお願いしました。
2014年から取り組む「生産改革活動」の中の改善活動の中で2017年に始めた「からくり」による改善。 数ある作品の中から以下3点の「からくり」を開発者から実機を使って説明をしていただきました。
・ UFO滑ッシャー!:
薬液のタンクを攪拌機にセットする作業を大幅に楽にする
・ お助けペダル:
重量物(1ton)のタンクを移動させる時の初動を、ペダルを踏んで楽にする
・ ふりFreeブレンダー:
沈殿しやすい液の撹拌作業を大幅に楽にする
講演後には「からくり」を目の前にして開発者から詳細な説明がありました。
プレテックが取り組む高コスパ現場改善の取組
プレテック株式会社 常務執行役員 佐藤 義則 氏
神戸市に本社を持つ金属プレス加工メーカーのプレテックの三木工場では、加工機周辺に生産性向上の様々な工夫・仕掛けが満載です。これらの工夫の多くを考案した佐藤氏に登壇いただきました。
工場で実装した事例として、プレス・タップ加工・検査の3つに分かれた製造工程を「からくり」反転機構などで連結させて作業者2名を削減するなど省力効果が大きい事例の紹介に加えて、現場改善に使えそうな4種の「からくり」の模型を紹介し、展示していただきました。
“からくり” の考案と製作のプロセスとは
パナソニック株式会社 エレクトリックワークス社
ライティング事業部 ものづくり革新センター
生産技術部 生産技術開発課 徳吉 潤成 氏
最後の講演はパナソニック新潟工場の徳吉様にお願いしました。今回は「からくり考える時の手順と発想方法を紹介して欲しい」と言う当方のリクエストに応えていただきました。
重量物のペール缶の積替えや輸送作業を楽にする「立吊るクン」「ゆるカン」の2つの製作事例を取り上げに、からくりの検討を進める上での重要なポイントを教えていただきました。
からくり展示
登壇企業3社(シスメックス、プレテック、パナソニック)に加えて、からくり製作用のパーツの供給メーカー3社(矢崎化工、遠藤工業、SUS)にも展示でご協力いただきました。
からくり展示の様子です。実物を間近に見て触れることで理解が深まります。
各社の展示を見て学ぶ参加者の様子です
シスメックス
プレテック
パナソニック
矢崎化工
遠藤工業
SUS
参加者の声:アンケート結果から