2019年12月6日(金)に「3S工場見学会&3S講習会(見学先:枚岡合金工具株式会社、大阪市生野区)」を開催し、製造業を中心に20名の方に参加いただきました。神戸市とNIROが昨年度から開催する「IoT・スマートものづくりスクール」の2019年度第7回のイベントです。この「IoT・スマートものづくりスクール」は、ものづくりの高度化を目的に、毎回テーマを絞った講習・セミナーをシリーズで開催しています。
枚岡合金工具様は大阪にある従業員約20名の金型メーカーですが、3Sに徹底的にこだわり経営改革を成し遂げました。また3S,5Sを志す国内外の企業向けに、同社工場のノウハウを公開する見学会も定期的に開催されており、今回の見学会はその804回目になるそうです。
枚岡合金工具様の受け入れ可能上限の募集定員を、募集開始の翌日には超える参加申込をいただきました。
それでは、当日の様子をご紹介します。
1.講話「徹底トコトンの3S活動がもたらしたものとは」
講師:枚岡合金工具株式会社 代表取締役会長 古芝 保治 氏<
はじめに枚岡合金工具株式会社の会長であり、徹底した3S活動を引っ張る古芝会長から講話をしていただきました。以下のようなお話を約1時間にわたり熱く語っていただきました。
- なぜ3Sが経営改革につながるのか、ものを探す時間の無駄
- 取組みのきっかけとなった3S先進企業の見学
- 企業グループを作り3Sの指導を受け取組んだ
- 社内に生まれる抵抗勢力との軋轢、それを乗り越えるリーダーシップ
- 3Sの成果が認められ、大手企業の見学やメディアの取材のお話
講話の様子 講演中の古芝会長
ご紹介いただいた枚岡合金工具の3Sのストーリーは、以下のホームページでも公開されています。是非ご一読下さい。
2.清掃体験
講話に続き工場に移動して参加者全員で「清掃体験」を行いました。
「清掃体験」では、枚岡合金工具様が実際に使用する清掃の道具を使い工場の床を磨きます。一見綺麗に見える工場の床も、洗剤をつけメラミンスポンジで軽くこすると黒い油汚れが浮いてきます。枚岡合金工具様では裸足で歩ける水準を目指しているとのことですが、そのレベルを参加者一同体感しました。枚岡合金工具様では日々の清掃以外に、社員全員で工場の一カ所を徹底的に清掃する活動を場所を変えながら定期的に行っているそうです。
清掃体験の様子です。今はフラットなこの床も以前はデコボコだったそうですが、会長自らが率先して平坦化して色を塗ったとのことです
3.工場と事務所の見学
休憩をはさんで、2つの班に分かれて工場および事務所を見学し、それぞれの場所で実践中の3Sに関わる取組みを、具体的に判りやすく説明をいただきました。
以下の写真は工場見学での一コマです。長年の活動で培ったノウハウを説明いただきました。
- ・具棚に表示された収納する工具の形を示す姿絵
- ・物の定位置を示す床面のシール
- ・殆どの備品に取り付けてあるキャスター
(清掃時に移動させて、隅々までの清掃が可能)
注※工場・事務所内は特別に許可を得て撮影しています
- 3Sが徹底された事務所では、日々使用する文房具は定位置がキチンと決められ、必要な物を素早く取り出すことができます。
- 壁面キャビネット内のファイルフォルダーの背表紙には、写真が貼ってあり一目で書類を戻す正しい位置が判るようになっています。
注※工場・事務所内は特別に許可を得て撮影しています
4.講話:利益に繋がる、次世代の3S「情報の3S」、質疑応答
見学の後、会議室に戻り、同社が開発したドキュメントの管理ソフト、「デジタルドルフィンズ」のご紹介をしていただきました。情報化が進展した昨今では、モノの3Sと同様、あるいはそれ以上に情報の3Sの重要と述べられました。
見学会開催後のアンケートの結果から、今回の見学会は非常に好評で、参加者の皆様の心に響く経験となったようです。「参考になることばかりだった」「経営者の熱意に感心した」「不用品の見分け方は参考になった」「早速自社でも学んだことを実行したい」など、ポジティブな感想を沢山いただきました。
ご参加の皆様の満足度が高く、一方で、定員の関係でご参加いただけなかった方もいらっしゃいますので、NIROでは近いうちにこの見学会を再度開催したいと考えております。開催日程等が決まりましたら、ホームページでご案内してまいります。