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お知らせ

【開催レポート】製造AIと切削加工完全自動化がもたらす製造業の未来 ―産学連携の挑戦―(2023.9.8開催)

国際フロンティア産業メッセ2023併催セミナー

2023年9月8日に国際フロンティア産業メッセ2023の併催セミナーとして、「製造AIと切削加工完全自動化がもたらす製造業の未来―産学連携の挑戦―」を開催し、兵庫県内の製造業を中心に幅広い地域・産業から112名の方に参加いただきました。このセミナーは神戸市委託事業「IoT導入支援事業」の一環として、神戸市・新産業創造研究機構(NIRO)の主催で開催しました。

会場の様子



製造AI・切削加工完全自動化とは?

生産の多品種少量化が進む国内の製造現場では、切削加工の製造コストの50%をNCプログラム作成が占めるという現実があります。本セミナーではこの課題解決に挑む、アルム株式会社、神戸大学の取組を紹介しました。製品化されたARUMCODEは3DCADの形状データ(STL)から加工用NCプログラムを自動生成し、NCプログラミングの工数を大幅削減します。
さらに経済産業省・NEDOの資金を獲得して、工具やワークのセッティングを自動化する完全自動マシニングセンタや完全自動化に必要な様々な機能の開発を取組中です。

概要



◉講演の概要

「アルムが目指すスマートファクトリー構想実現への道」

アルム株式会社 代表取締役  平山 京幸 氏

アルム平山

2030年に向けて完全自動化、AI化の波は大きくなる。背景にあるのは世界各国で顕著になる人手不足の問題がある。例えば日本では金属機械加工従事者は過去20年で40%減少している。  多品種少量生産の場合にNCプログラム作成の工数が製造コストの実に50%に達するとのグループ企業での実態のご紹介があった。これは業界全体の傾向であると。

コスト構成比

この課題の解決を目指し開発したのがARUMCODE1(オンプレ版)で、3Dモデル形状(STLデータ)を入力すると形状解析をして、工具を選び、切削条件を決め、加工パスを計算し、NCプログラムを生成する機能がある。技術者が10分かけて行うNCプログラムを瞬時に生成する。
ただしオンプレ版は500万円程度の価格で、中小事業者は加工設備購入との間で迷い、大手企業の場合は幹部決裁に時間を要するなど導入ハードルは高い状況にあった。 この状況に対応するためクラウド版ARUMFactory365を開発し、7月にリリースした。クラウド版は月額2万円以下で提供して導入ハードルを下げ、加えて切削条件ライブラリとポストプロセッサも提供し、ユーザに利便性を提供した。
切削加工を完全に自動化するには工具、ワークのセットを自動化したマシニングセンタと、従来は職人がカバーしてきた切削時のワークの熱膨張や工具剛性の問題への対処、STLデータでは消えていた面粗度や加工方案に関わる情報の反映や、摩耗した工具の代替品の調達など様々な機能が必要であり、経済産業省・NEDOから8億の補助を獲得して開発に取り組んでいる。

「大学研究者が奮闘する研究成果の社会実装の歩み」

神戸大学 准教授、アルム株式会社 CTO、BESTOWS株式会社 CEO 西田 勇 氏

西田 勇

神戸大学で教育・研究に携わりながら大学発ベンチャー企業を立ち上げた西田准教授が、研究成果の社会実装を目指して起業した経緯、創業時の苦労から現在に至る過程を紹介した。

スマホ

創業時に「最先端技術を低価格で」と始めた加工シミュレーションソフトの販売は思うようには行かなかった。その経験から「市場のニーズに応える」必要性を学び、NCプログラムの自動生成に舵をきり、市場の反応も探りながら、Windows上で動作するソフトを開発し、SNSでの情報発信により技術を販売する活動を始めた。 そんな折にアルム平山社長が3次元の形状解析の技術を求めるSNS発信に、「自分に向けてたメッセージだ」と感じた西田氏が返信し、すぐに交流が始まり、研究成果を実装したARUMCODEの開発・販売や、完全自動マシニングセンタ開発につながった経緯の紹介があった。

反応

NCプログラミングの自動化や完全自動マシニングセンタ開発への興味は、機械金属加工関連事業者を中心に非常に高く、予定時間を超過して質疑応答が行われた他、セミナー終了後には講師との名刺交換を希望する方の列ができました。

鉄鋼新聞2023年9月13日5面には本セミナーの取材記事が掲載されました。

鉄鋼新聞

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