【開催レポート】2019年度IoT・AI・ロボット導入補助金事業 成果報告会レポート(2020.8.4開催)
IoT・AI・ロボット導入補助金事業 成果報告会を2020年8月4日(火)に神商ホール(神戸商工会議所会館3階)で開催しました。約200名の方に参加いただきました。
兵庫県・神戸市では平成30年度から県・市一体となり、兵庫県内の中小企業のIoT・AI・ロボットの活用などの「ものづくりの高度化」の支援をしています。セミナー、スクール、導入相談窓口、および導入促進の補助金など、さまざまな支援を公益財団法人新産業創造研究機構(NIRO)を事業者として実施してきましたが、今回の報告会は、2019年度の補助金採択企業の成果報告の場です。
また、兵庫県では2020年4月から兵庫県立工業技術センター内に「スマートものづくりセンター神戸」を開設し、兵庫県内企業のものづくりの高度化を支援しておりますが、この開所を記念するイベントでもあります。
当日は全採択企業17社中8社が口頭発表を行い、発表の様子をオンラインで中継しました。また、企業間の情報交換の場として、ポスターセッションを開催し、全採択企業がポスター発表を行いました。また、会場でポスターセッションの開催中、オンラインでは口頭発表のなかった9社の3分間の発表動画を放映しました。
以下、当日の様子をレポートします。口頭発表の会場の様子です。新型コロナウイルス感染症対策で3人掛けの机にお一人で座っていただき、開催しました。これでほぼ満席の状態です。
○オープニング
成果報告会の冒頭、主催者を代表して兵庫県産業労働部産業振興局西躰局長からご挨拶いたしました。
成果報告会のオープニング 主催者挨拶
○スマートものづくりセンター神戸について
主催者挨拶に続き、兵庫県産業労働部産業振興局工業振興課の馬場課長が、2020年4月に「兵庫ものづくり支援センター神戸」を改組し、AI・IoT・ロボット導入支援機能を拡充した「スマートものづくりセンター神戸」の紹介を行いました。
○採択企業からの成果報告(前半) 補助金を活用した取組みの報告です。
「自動加工機への協働ロボットの適用」
株式会社精和工業所 小西氏
自動加工機への円筒状ワークの着脱をロボットで自動化し、無人連続運転を実現した。協働ロボットを採用することで、段取り(金型交換)作業の障害となる安全柵の設置を回避した。協働ロボットに関する知識・技能を習得できた。
「霧発生システム製品へ搭載するIoTデバイスの開発」
株式会社いけうち 兼田氏
LPWA通信のSigfoxを採用したIoTデバイスとモニタリング用ダッシュボードを開発し、自社製品の霧発生システムの遠隔監視を実現した。設備の適切な運用を確認するとともに、タイムリーな対応で被害・故障を未然に防ぐ。
「AIを活用した医療データ解析システム」
ネクスジェン株式会社 宮塚氏
個人情報を含む臨床データの流通を行わずに、複数医療機関のデータを学習するAI医療データ解析システムを開発した。医療現場における「分散型協調機械学習」の社会実装の世界初の試みである。
「工作機械の稼働監視による生産性向上」
株式会社三和製作所 渡邉氏
工作機械の稼働監視をシグナルタワーの発光でモニタリングするIoTツールの導入にあたり、停止要因を分析するため「段取り」「脱着作業」を識別するスイッチを追加した。細分化したデータ採取により、設備稼働率向上などの成果を得た。
○ポスターセッション
全ての補助事業者(17社)の皆様にポスター発表をしていただきました。
フェイスシールド着用でコミュニケーション ポスターセッションの会場案内図
ポスター展示の例
○採択企業からの成果報告(後半) 補助金を活用した取組みの報告です。
「自動車ソフトウェア開発向け、CAN-FD通信インターフェースの開発」
株式会社サニー技研 米田氏
自動車制御用通信の国際規格CAN-FD通信に対応したデータ処理用デバイスを開発した。自動運転などの自動車制御用ソフト・ハード開発を支援するツールとして販売開始。
「鋳物部品バリ取り工程のロボットによる自動化」
株式会社兵庫精密工業所 西脇氏
ワーク搬送作業とバリ取り加工の両方にロボットを活用して鋳物部品のバリ取り工程を自動化した。力覚センサーを用いたバリ取り部の制御により、鋳物個体差や複雑形状に対応し、安定したバリ取りを実現した。
「IoTを活用した多品種少量生産体制における改善PDCA促進システム構築」
株式会社大日製作所 橋本氏
設備の稼働状態を自動収集したデータと作業者がタブレットで入力した作業ログを、同一時系列上で見える化し、改善課題を抽出するシステムを構築した。抽出した改善課題に取り組み、生産性を向上した。
「ロボットとIoT導入による給湯器外装ケースの検査工程自動化」
福伸電機株式会社 米田氏
人の目と手に頼っていた給湯器外装ケースの検査に対し、アーム先端に接触式センサーを搭載したロボットを導入して多品種の製品検査を自動化した。目視による検査を無くし人員削減すると共に検査時間を半減した。
企業からの発表終了後は、NIROと神戸市から成長産業育成コンソーシアムやIoT高度活用研究会の説明と参加企業募集をはじめとする紹介があり、さらに会の最後には、主催者を代表し神戸市経済観光局の豊永副局長から締めの挨拶にて閉会となりました。
○余談(ハイブリッド型セミナーでの開催について)
この成果報告会は、元々は3月19日に開催予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の影響で延期しておりました。今回、開催にあたっては、会場とオンライン視聴を組み合わせたハイブリッド型のセミナーとして、会場の参加者は補助事業者、主催関係団体および一部の企業に限定して会場が密になることを避けつつ、オンラインで多くの方に視聴いただくという当方にとっても初めての形で開催いたしました。
会場の口頭発表はZOOM社のWebinar(ウェビナー)システムを用いて中継を行いました。右の写真は、オンライン中継を行うスタッフの様子です。
○2019年度中小企業IoT・AI・ロボット導入補助金
採択企業名、事業名称および内容(全17件)
各社のポスターは「IoT・AI・ロボット導入・活用事例」としてNIROのホームページで公開中です。