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お知らせ

【開催レポート】「日本の海外水ビジネスの発展に向けた提言」(ひょうご次世代産業高度化プロジェクト/水素等次世代エネルギー・環境分野参入促進事業 第2回セミナー)

2019年12月18日、「ひょうご次世代産業高度化プロジェクト 水素等次世代エネルギー・環境分野参入促進事業」の一環として、第2回セミナー「日本の海外水ビジネスの発展に向けた提言」を神戸市勤労会館で開催し、地元中堅・中小企業、自治体等から多くの皆様のご参加をいただきました。

セミナー風景



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講演1

W&E研究所代表の山村尊房氏による「海外水ビジネスの必要性と推進への提言」では、海外水ビジネス研究会の2年にわたる活動の経過とその成果である「提言」の内容について講演していただきました。国の「水の安全保障戦略機構」の設立から、現在、取り組みの重要性が認識されている国連の「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」と水ビジネスについての関わりなど幅広く解説していただきました。特に海外では、まだまだ水の問題で苦しんでいる人々がおられ、この問題解決に貢献するとともにビジネスとして成り立たせることは、水道関係者にとって意義のある事であるとの締めくくりに対して、多くの人がうなずいていました。




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講演2

貿易投資金融アドバイザーの工藤克典様による「海外水ビジネスのストラクチャーモデル」では、ご自身の国際貿易投資や金融分野でのご経験から、海外水ビジネス研究会で提案されたストラクチャ―モデルについて、その作成に至った背景と概要について講演していただきました。通常、海外を対象にした水ビジネスでは、大規模なインフラを扱うことになるため取引先が官公庁となるケースが多く、従来は金融という観点からの取り組みが少なかったことに対して、今回の研究会では、金融やプロジェクトファイナンスという観点からモデル化することにより、ビジネスの内容を整理しわかりやすくすることを目指したそうです。さらに、商社の水ビジネスや電力会社が海外で手掛けているIPP(Independent Power Producer)についての説明では、商社の力を借りることの重要性が示され説得力がありました。



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講演3

水道技術経営パートナーズ株式会社・代表取締役の山口岳夫様による「水インフラビジネスの海外戦略における競合の検討」では、我が国の企業が海外水インフラビジネスに進出する場合、市場の状況や競争相手の分析が重要との考えのもと、SWOT(Strength=強み、Weakness=弱み、Opportunity=市場機会、Threat=脅威)分析を使った事例を紹介していただきました。まず、事業(ビジネス対象)を大規模水道事業(マクロ)から部品供給事業(ミクロ)までに範囲分けし、それぞれの領域ごとの特徴と競合者や、各事業に求められる能力や対応方法について説明していただきました。さらに国ごとの水道ガバナンスの違いや水資源と社会情勢の違いによる事業の選択(設備や製品)が必要であることが示されました。

パネルディスカッション

「日本の海外水ビジネスの今後」をテーマに、山村様がモデレーターとなり、工藤様と山口様に加えて、地元の水道事業関係者である阪神水道企業団の総務部長の長塩大司様、神戸市水道局の広域連携・水インフラ支援担当課長の松下眞様、株式会社神鋼環境ソリューションの海外水処理室長の田路明宏様の6名のパネリストによるパネルディスカッションを行いました。主な内容は以下の通りです。

  • 国内は少子高齢化で水ビジネスのチャンスは少ないことから、海外市場を狙うのは当然の成り行きである。
  • 特別な技術や製品を持たないエンジニアリングメーカーは、EPC(Engineering設計、Procurement調達、Construction建設)事業だけではビジネスを持続するのが困難なので、O&M(Operation運転、Maintenance保守・修理)事業まで含めて取り組んでいる。このため、良いパートナーとの合弁が有効となる。
  • 国内の水ビジネスは先細りとなっている。電力や商社など海外展開事例があるので、これらを参考に関係機関がスクラムを組んで海外進出すべきで、官庁も積極的に海外ビジネスに関与してよいのではないか。
  • 官庁の場合は税金で賄われているため、海外で発生した損失に対して国民の理解を得ることが難しい。東京都のように、まず民間会社を設立し、経営が軌道に乗った後なら国民の理解を得やすいだろう。以上から、当面は技術アドバイザーのような形での参画が適当だと考えられる。
  • 国内では水インフラの新設がほとんどないため、水道技術の維持が難しくなっている。資源の乏しい日本は、昔から輸出産業を主に行ってきた経緯から、幸い水インフラ輸出を国も後押ししてくれている。そのような状況なので、「日本の海外水ビジネスの発展」は必要不可欠であるとの認識は皆さんもっていただけたと思う。そのやり方はそれぞれの機関で違うと思うが、前向きに取り組んでいただきたい。
セミナー風景

以上のように、日本の海外水ビジネスの発展に向けて熱く語り合う有意義なセミナーとなりました。

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