【開催レポート】「第25回NIRO国際先端技術 TWIセミナー」を開催しました(2019.11.28開催)
2019年11月28日、生産技術における世界最高峰の研究開発機関のひとつ、イギリスのTWI(The Welding Institute/接合・溶接研究所)をお招きして「第25回NIRO国際先端技術 TWIセミナー」を開催し、35名の方にご参加いただきました。「インダストリー4.0/製造・加工におけるデジタル技術」と題して、3名のスピーカーによるTWIで培われた先端技術が紹介されました。
Chris Otter氏 「TWIの紹介、インダストリー4.0」
まず、TWIが過去70年に渡り、溶接・接合、構造物健全性、材料耐蝕性、表面処理、非破壊検査などの分野において培ってきた技術の概要と、TWIメンバーへのコンサルティングサービスについて説明がありました。次に、インダストリー4.0を見据えたデジタル・マニュファクチャリングについて、いくつかの事例とともに、その取り組みについて紹介いただきました。
Tyler London氏 「施工条件の最適化シミュレーション技術」
溶接シミュレーションの事例として、自動車のFuel Railの仮付溶接や、船殻パネルの溶接などが紹介されました。シミュレーションにおける課題を階層化することで、シミュレーションで使用するモデルの複雑化を避けられること、さらに、実材料の試験結果を重ね合わせることで、その予測精度を高められることが示されました。
「造船向けライフサイクル計画のソフトウェアベースアプローチ」
EUによって始められTWIが取り組んでいるSHIPLYS(Ship life cycle software solutions)プロジェクトの説明がありました。当プロジェクトは、設計と生産に必要となる時間とコストを削減すること、コンピュータ上で試作することで優れた船舶を開発すること、ライフサイクルコスト分析(LCCA)や環境・リスクの事前評価精度を高めることなどを目標に進められているとのことです。次に当プロジェクトにおいて活用が始まっている様々な事例が紹介されました。
Rob Shaw氏 「人工ニューラルネットワークによる溶融池評価」
高解像度カメラを使ったヴィジョンセンサーにより、溶接の様子を観察し評価することで、溶接工の「感覚」を、機器による「検知」に置き換える試みが紹介されました。分類・処理した膨大な数の溶接画像を、ニューラルネットワークを使って、その溶接結果の善し悪しを学習させます。このようにして訓練されたAIを使った自動TIG溶接の試みとして、ステンレス製放射性廃棄物コンテナへの適用試験が紹介されました。
講演後の質疑応答では、参加者とTWIメンバーとの活発な議論がなされるなど、とても有意義なセミナーとなりました。