平成9年12月4日
NIRO、大手企業が持っている技術シ−ズを
地元企業の組み合せ及び指導によって製品実用化に成功
(財)新産業創造研究機構
川崎重工業(株)
川口金属工業(株)
財団法人 新産業創造研究機構(NIRO)事業化支援成果第一号
橋梁構造物用「摩擦減衰型免震装置」を新開発
(財)新産業創造研究機構(*以下、NIRO)は、新しい考えに基づく橋梁構造物用「摩擦減衰型免震装置」を川崎重工業(株)(NIRO理事会社)、川口金属工業(株)(NIRO賛助会員会社)と共同で開発に成功しました。これは橋梁構造物用として、すべり抵抗を利用した新形式の免震装置です。NIROが主研究分野の一つとして取り上げている耐震・防災分野の開発テ−マとして、川崎重工業(株)の考案による本装置の基本コンセプトを事業化することを考え、川崎重工業(株)と兵庫県下に事業所を有している支承メ−カ−の川口金属工業(株)との間の共同研究開発を先導したものです。さらに、ゴム製品については地元ゴム会社である東洋ゴム工業(株)(NIRO賛助会員会社)との間を仲介して実現させたものです。今後ともNIROは、地元各企業、研究機関と連携して、新産業の振興を目指した事業化検討を積極的に行う方針を打ち出しています。以下に今回発表の新開発「摩擦減衰型免震装置」の技術内容につい解説いたします。
新開発した橋梁構造物用「摩擦減衰型免震装置」について
免震装置とは、橋桁の重量を支持すると同時に、水平方向には橋桁を柔らかく支持する装置で地震による地盤の水平方向の動きが橋桁へ伝わるのをカットし、橋桁に働く地震力を低減させるものです。橋梁構造物の甚大な被害を被った阪神大震災を契機として、震災後、橋梁構造物への免震装置の適用が本格的に行われています。しかし、従来の免震ゴム支承では、大地震の際に橋桁が大きく揺れてしまうことや、長年使用中にゴムの変形によって橋桁が鉛直方向に沈下するといった問題があることから新しい免震装置の開発が期待されていました。
今回共同開発した「摩擦減衰型免震装置」は橋桁と橋脚の間に設置され、「金属製のすべり支承」と「ゴム水平バネを組み合わせた構造」になっています。地震のとき橋桁は支承上をすべって地震力をかわし、橋桁の水平方向の過剰な動きはすべり摩擦によって抑えられます。また、ゴム水平バネは橋桁を元の位置に戻す力を作用させます。
本装置の主な特長は次のとおりです。
- 免震化によって地震力を抵減させる効果は、従来の免震ゴム支承の場合と同程度ですが、すべり摩擦によって、従来の免震ゴム支承に比べて約半分程度の水平変位に抑えることができます。
- 金属製の剛なすべり支承を使っていることからゴム支承使用時のような長年使用による橋桁の鉛直方向の沈下が無く、橋桁の鉛直振動や段差を生じることもないため、特に、鉄道橋への適用性に優れています。
- 大きな地震では、時には橋桁は元の位置からズレて止まってしまうことがありますが、本装置では1.の金属製支承中に設けられた水圧を利用した残留変位解除機構“水ジャッキ機構”によって橋桁を浮かせてすべり摩擦力を消すことができて、2.の水平ゴムバネの力だけで簡単に元の位置に戻すことができます。
- “水ジャッキ機構”も含めて機構的に簡単な構造のため、コストは従来の免震ゴム支承と同程度にすることができます。
今回、本装置の製品性能試験を実施し、すべり摩擦力が設計値どおりの性能を有していることと水圧によるすべり摩擦力の低減効果を確認しました。試験には川口金属工業(株)の新鋭200トン圧縮せん断試験機を使いました。試験の模様は10月20日から22日にかけて関係者に公開され、大学、道路公団、鉄建公団、JR各社、橋梁メ−カ−、コンサルタント会社などから約50名の専門家の参加があり、その性能は高く評価されました。
今回の共同研究は、NIROが1997年3月に設立して以来、初めての具体的な事業化研究の成果となります。NIROは今回の免震装置の開発の成功により、引続きこの技術を橋梁分野以外の土木構造物、及び建築関連分野などへの適用に向けた事業化を展開していく予定です。また、国内ばかりでなく海外への事業展開も進めていく予定です。さらに、今回開発した“水ジャッキ機構”は大型重量物搬送などへの技術転用も考えています。
NIRO:英文名 The New Industry Research Organization ((財)新産業創造研究機構の略称)
阪神・淡路大震災からの復興を契機に、新産業の振興を目的として本年3月に兵庫県、神戸市、兵庫県下に事業所を有する企業等が出資して神戸市に設立された財団です。設立以来、情報メカトロ、耐震・防災、新素材、交通・物流システム、環境エネルギーの各分野について、主にこれらのパラダイムシフトを目指した開発を行って参りました。また、所員も20数名を擁するまでに拡大しており、さらに英国ケンブリッジ大学、米国MITなどの海外学術ネットワークを構築してきました。
支承:橋梁の上部構造に加わる荷重を下部構造に伝え、かつ上・下部構造間の相対変位にも追従できる機能をもつ構造として、上部構造と下部構造の接点に設けられる部材
問い合わせ先:財団法人 新産業創造研究機構
担当:水上 裕之
E-mail:minakami@ri.niro.or.jp
電話:078‐360‐4807
FAX:078‐360‐4808
〒650 神戸市中央区東川崎町1-8-4

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